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吉宝丸とは

 私たち広島アートプロジェクトが毎年展覧会を行なっている吉島は、周囲を川と海で囲まれた島であり、17本の橋で広島に係留された巨大な一隻の舟と見立てることができます。

 軸先に原子爆弾投下の目標となった相生橋を持ち、船首デッキには20世紀の平和問題を核とする平和記念公園、船尾にはかつて飛行甲板の機能を持った吉島飛行場が備えられていましたが、現在は21世紀の環境問題を象徴するゴミ処理場を有しています。
右舷船尾には遊休施設となった旧ゴミ処理場を舵取りとして創造エネルギーを文化の駆動力にし、舵を切る役割を果たします。
船首と船尾を貫く構造であるキール(竜骨)は都市軸であり、広島アートプロジェクトの主要サイトは船橋に位置し、そこは操舵室があり、船長をはじめ航海士が操船することになります。

 吉島はかつて「飛行甲板船」であり、平成19年に開催した〈旧中工場アートプロジェクト〉では文化を開花させる引き金となった「黒船」であり、平成20年に開催した〈旧中工場アートプロジェクト2〉では世界に日本文化を輸送した「遣隋使船」でした。
 そして今回、再びその躯体の価値を検討する『宝の船』にみたて、その船に点在する『宝(アート)』をトレジャーハンティングしていく「いざ、船内探険!吉宝丸(きっぽうまる)」展を開催します。
昨今の社会経済の破綻という不安定な時代だからこそ、心のゆたかさについて考える機会を提供します。